断食の効果と栄養過剰の問題

断食をすることで肝臓が生まれ変わる効果が期待できます

2018年02月17日 18時03分

「オートファジー」……ノーベル賞で注目されたワードですから、聞いたことがある人も多いかもしれません。これは、細胞が断食状態(栄養飢餓状態)になること。
 
細胞内にある古いたんぱく質や古いミトコンドリやなど細胞の中にある不要物を分解して、新しくたんぱく質をリサイクルして栄養を確保する機能です。なにやら、むずかしそうな話です。糖が枯渇するよりも、たんぱく質が枯渇するほうがオートファジーは強く発生する傾向にあります。
 
しっかしりした断食状態にならなくても、短期間のプチ断食でもオートファジーが活性化します。マウスの実験によると、一番オートファジーが発生するのは肝臓であることが判明しています。断食をすれば肝臓の細胞が生まれかわるのです。
 
では、どんな人でも断食をすれば肝臓が生まれ変わるのでしょうか?
これは注意しておきたいことですので、しっかりと理解しておきましょう。断食をすると肝臓の栄養分である糖質が不足します。断食をスタートした最初の2日間から3日間は腎臓や肝臓に大きな負担があります。
 
肝臓以外の臓器(脳・心臓・筋肉など)は肝臓が作り出すケトン体をエネルギー源にできて動きます。しかし、肝臓自身はケトン体を利用できません。その代わりに糖新生をします。たんぱく質や脂質を糖に変換し、肝臓自身の栄養を維持するのです。
 
肝臓は他の臓器と比べると、身体に有害な活性酸素を発生させます。身体の80パーセントの活性酸素は腎臓で発生しているという研究結果もあります。どうしてかと言いますと、500以上の働きをしており、エネルギーやたんぱく質を作るし、薬物解毒・毒物解毒・免疫細胞が動いたりします。
 
断食をスタートして初期の2日間から3日間は、糖新生を行ったり、ケトン体を普段以上に生産したりします。ですが、肝臓そのものが働くので、ブドウ糖や果糖が不足して、本来の働きができなくなります。断食の場合は最低限の栄養をドリンクで補うようになっています。
 
こういったことに耐えられないほど体力が弱っている場合は断食を続けることが難しくなります。肝臓や腎臓に疾患があると断食はやめたほうがいいでしょう。専門家に相談して身体のコンディションを整えてからスタートするべきです。